労災相談室

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不法行為を理由とする損害賠償請求と「安全配慮義務」の違反を理由とする損害賠償請求

労働災害について事業主に損害賠償を請求しようとする場合、民法の不法行為責任(民法709条、715条、717条など)を理由にすることもできるのですが、不法行為責任は3年という短い期間で消滅時効にかかってしまうため(民法724条)、使用者の安全配慮義務の違反を指摘して、債務不履行を理由とする損害賠償を求めるのが一般的です(債務不履行責任の時効期間は10年になります。民法167条)。

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時効

労災の請求権にも時効があり、期間を過ぎると請求できなくなるので注意が必要です。

療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付の時効は、2年、障害補償給付、遺族補償給付の時効は5年です。

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使用者に対する損害賠償請求

職場における負傷、仕事が原因となった疾病について、それが業務上のものと言える場合には、労働者は労災保険の各種給付を受けることができます。

しかし、労災保険によっては、事故によって被った精神的損害の補償(慰謝料)は受けられませんし、休業補償給付、障害補償給付も支給額が定額化されているため、労働者が被った損害の全部が補填(ほてん)されるわけではありません。

そこで、労災保険によってはカバーされない損害については、事業主に対し、損害賠償を請求できるかが問題になります。

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「安全配慮義務」の内容

anzen労働災害について事業主に損害賠償を求めることができるのは、使用者に安全配慮義務の違反があると言える場合です。

「安全配慮義務」とはどのような内容の義務なのでしょうか。

ある裁判例では、この安全配慮義務を、「労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務」と説明しています(川義事件・最高裁昭和59年4月10日判決)。

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納得の行く保険給付が受けられない場合 -不服申し立ての手続-

審査請求

納得の行く保険給付が受けられない場合、さいたま市浦和区高砂の埼玉総合法律事務所にご相談下さい。労災保険の請求をした結果、労働基準監督署から保険給付をしないという「不支給決定」を受けてしまったとか、支給決定は出たけれども、考えていたよりも低い障害等級の評価になってしまった場合などには、各都道府県労働局の労災保険審査官に対し、「審査請求」という不服申し立てをすることができます。

再審査請求

労災保険審査官の決定にも不服があれば、さらに、労働保険審査会に「再審査請求」をすることができます。

行政訴訟

再審査請求について労働保険審査会がした「裁決」に対しても不服があるという場合、あるいは、労働保険審査会に再審査請求をして3ヶ月が経過しても「裁決」が出ないという場合については、今度は、裁判所に行政訴訟を提起することができます。

不服申し立ての相談

審査請求や行政訴訟の手続を本人で進めていくことももちろん可能ですが、原処分の事実の捉え方や評価についての誤りを的確に批判するという作業は簡単なことではありません。弁護士の相談を受けてみることをお勧めします。

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保険給付の種類

労災と認められれば、次のような保険給付を受けることができます。

  • 「療養(補償)給付」
    …治療費、薬代、入院時の食事代、看護費など
  • 「休業(補償)給付」
    …負傷・疾病によって療養のため休職した時の補償
     給付額は、賃金相当額の60%です。
  • 「障害(補償)給付」
    …負傷・疾病によって障害(後遺症)が残った時の補償
  • 「介護(補償)給付」
    …重い障害が残り、介護を必要とする方への介護費用の補償
  • 「遺族(補償)給付」
    …被災者が死亡した時に遺族に支払われる給付

他にも、葬祭費の補償、傷病補償年金などがあります。

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後遺症の内容と等級

等級
後遺障害
第1級 両眼が失明したもの
咀嚼及び言語の機能を廃したもの
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
削除
両上肢をひじ関節以上で失ったもの
両上肢の用を全廃したもの
両下肢をひざ関節以上で失ったもの
両下肢の用を全廃したもの
第2級 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
両眼の視力が0.02以下になったもの
2の2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2の3 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
両上肢を手関節以上で失ったもの
両下肢を足関節以上で失ったもの
第3級 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
咀嚼又は言語の機能を廃したもの
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服する事ができないもの
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
両手の手指の全部を失ったもの
第4級 両眼の視力が0.06以下になったもの
咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
両耳の聴力を全く失ったもの
1上肢をひじ関節以上で失ったもの
1下肢をひざ関節以上で失ったもの
両手の手指の全部の用を廃したもの
両足をリスフラン関節以上で失ったもの
第5級 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
1の2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
1の3 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
1上肢を手関節以上で失ったもの
1下肢を足関節以上で失ったもの
1上肢の用を全廃したもの
1下肢の用を全廃したもの
両足の足指の全部を失ったもの
第6級 両眼の視力が0.1以下になったもの
咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
3の2 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの
第7級 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
2の2 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
削除
胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの
1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの
1足をリスフラン関節以上で失ったもの
1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
10 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
11 両足の足指の全部を廃したもの
12 外貌に著しい醜状を残すもの
13 両側の睾丸を失ったもの
第8級 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの
脊柱に運動障害を残すもの
1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの
1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
1上肢に偽関節を残すもの
1下肢に偽関節を残すもの
10 1足の足指の全部を失ったもの
第9級 両眼の視力が0.6以下になったもの
1眼の視力が0.06以下になったもの
両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
6の2 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
6の3 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
1耳の聴力を全く失ったもの
7の2 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
7の3 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの
1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
10 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
11 1足の足指の全部の用を廃したもの
11の2 外貌に相当程度の醜状を残すもの
12 生殖器に著しい障害を残すもの
第10級 1眼の視力が0.1以下になったもの
1の2 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3の2 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解するこができない程度になったもの
削除
1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの
1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
10 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
第11級 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
3の2 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3の3 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
脊柱に変形を残すもの
1手の人差し指、中指又は薬指を失ったもの
削除
1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第12級 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
長管骨に変形を残すもの
8の2 1手の小指を失ったもの
1手の人差し指、中指又は薬指の用を廃したもの
10 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
11 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
12 局部に頑固な神経症状を残すもの
13 削除
14 外貌に醜状を残すもの
第13級 1眼の視力が0.6以下になったもの
1眼に半盲目、視野狭窄又は視野変状を残すもの
2の2 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
3の2 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3の3 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
1手の小指の用を廃したもの
1手のおや指の指骨の一部を失ったもの
削除
削除
1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの
10 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
第14級 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
2の2 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
削除
1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
局部に神経症状を残すもの
10 削除

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後遺症慰謝料

後遺障害等級 後遺症慰謝料の金額 労働能力喪失率
第1級 2800万円 100%
第2級 2370万円 100%
第3級 1990万円 100%
第4級 1670万円 92%
第5級 1400万円 79%
第6級 1180万円 67%
第7級 1000万円 56%
第8級 830万円 45%
第9級 690万円 35%
第10級 550万円 27%
第11級 420万円 20%
第12級 290万円 14%
第13級 180万円 9%
第14級 110万円 5%

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「業務上災害」、「通勤災害」と認定されるための基準

労災保険の給付が行われるのは、「業務上災害」、「通勤災害」に該当する場合に限られます。どのような要件を満たせば、「業務上災害」、「通勤災害」として労災保険の支払いを受けられるのでしょうか。

「業務上災害」の認定

kega労災保険における「業務上災害」とは、労働者が事業主の支配下にあることに伴う危険が現実化したものと経験法則上認められる場合をいいます。

労働者が労働契約に基づいて使用者の支配下にある時の被災であることを「業務遂行性」、使用者の支配下にあることに伴う危険が現実化したと経験法則上認められることを「業務起因性」といい、この2つの基準によって業務上災害と言えるかどうかが判断されます。

例えば

例えば、休憩時間中は業務から離れてはいますが、休憩時間を事業所内で過ごしているような場合には、使用者の支配下にあると言えるので、業務遂行性は肯定されます。

したがって、あとは事業所施設の欠陥によって事故が発生した場合のように勤務時間中であっても同様の事故が発生する可能性があったと言えさえすれば、業務上災害と認められることになります。

逆に、勤務時間中の事故(したがって、「業務遂行性」は肯定される。)であっても、例えば、同僚と私的なもめごとから喧嘩になってケガをしたというような場合には、「業務起因性」が否定されるため、業務上災害には当たらず、保険給付を受けることもできません。

「通勤災害」の認定

jiko労災保険法では、保険給付の対象とする通勤災害の「通勤」について、「労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復すること」をいうとしています。
そして、往復の経路から逸脱・中断した場合、経路の逸脱・中断をしている間およびその後の往復については、「通勤」から除くとされています。

例えば

帰宅途中に居酒屋に立ち寄り、それなりの時間お酒を飲んだというような場合に居酒屋での飲酒中、そして、居酒屋から帰宅するまでの移動中に事故にあっても「通勤災害」とは言えないということになります。

もっとも、夕食の惣菜を購入するとか、医者の診察を受けるなど日常生活に必要な最小限度の行動をする場合には、その用事を終えた後の移動については、通常「通勤」となるとされています。

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